地球温暖化ゴア氏の警告


 北極の氷が解け始め、渡り鳥が減少し、自然災害や奇病が増え続ける。地球温暖化の影響について聴衆の前でとうとうと自説を述べるのは、米国の前副大統領アル・ゴア氏。政治的プロパガンダかと思いきや、これが科学的なデータに基づく客観的かつ論理的な内容なので驚いてしまう。つい乗せられて、為政者にとって耳の痛い“不都合な真実”に正面から向き合わされることになる。

 主にゴア氏の講演を記録したドキュメンタリーなのだが、地球温暖化という今日的な内容もさることながら、ソフトな語り口の情熱家ゴアその人の人間性が前面に出て、とても親しみやすい。

 ここで語られる人類への警告が100%真実ではないとしても、難しいテーマを説得力を持って語る一人の政治家の魅力を存分に引き出す演出力は、やはり非凡なものがある。デイビス・グッゲンハイム監督。1時間36分。TOHOシネマズ六本木ヒルズなど。(土屋好生)

2007年1月12日 読売新聞)